二年前、息子が三歳の誕生日を過ぎた頃、私はようやく全ての定期予防接種を終えたという安堵感の中にいました。特に水疱瘡については、私自身が子どもの頃に高熱と痒みで地獄のような日々を過ごした記憶があったため、二回の接種をスケジュール通りに完了させたことは、親としての大きな達成感でもありました。しかし、その安堵は突然、保育園からの「水疱瘡流行のお知らせ」によって破られることになります。最初は「うちは二回打っているから大丈夫」と高を括っていました。ところが、その一週間後、お風呂上がりの息子の背中に、小さな赤い点が三つほどあるのを見つけたのです。虫刺されかなと思いましたが、翌朝にはその点が胸や足にも広がり、合計で十五個ほどになっていました。熱を測っても三十六度五分の平熱で、本人はいたって元気に走り回っています。半信半疑で小児科を受診したところ、先生は息子の皮膚を一目見て「あ、これは水疱瘡ですね。二回接種済みの突破型です」とあっさり告げました。その瞬間のショックは忘れられません。二回も痛い思いをさせて打ったのに、なぜかかるのか。確率的にはかなり低いはずなのに、なぜうちの息子なのか。そんな不満が顔に出ていたのかもしれません。先生は優しく、「お母さん、でも見てください。熱もないし、発疹もこれだけで済んでいます。もし打っていなかったら、今頃この子は全身水ぶくれで泣き叫んでいたはずですよ。二回打っていたからこそ、これだけで済んでいるんです」と説明してくれました。確かに、息子は痒がる様子もほとんどなく、食欲も旺盛で、ただ外に出られない退屈さと戦っているだけでした。水疱瘡の典型的な症状である「中心部が窪んだ水ぶくれ」になる発疹もわずか数個で、残りはただの湿疹のように消えていきました。結局、五日後には全ての発疹がかさぶたになり、医師の登園許可をもらうことができました。私の幼少期の記憶では二週間近く学校を休みましたが、息子の場合は一週間もかからずに完遂しました。この経験を通じて、ワクチンの「確率」というものの見方が変わりました。九十五パーセントという高い確率で防げるのは事実ですが、残りの五パーセントに入ってしまったとしても、ワクチンが作った土台があれば病気はもはや脅威ではないのです。もし今、二回打ったのにかかる可能性を不安に思っている方がいたら、伝えたいです。その可能性は確かにゼロではありませんが、打っておくことで得られる「安心の質」は、何物にも代えられません。息子に残った数個の小さな痕も、今では「ワクチンが頑張って守ってくれた勲章」のように見えます。病気は防げるに越したことはありませんが、かかったとしても軽く済むという保険を子どもに与えておくことが、親ができる最高のセルフケアなのだと痛感した出来事でした。