お腹痛いという経験の中でも、今までに味わったことがないような突然の激痛に襲われた場合は、悠長に通常の診療時間を待つのではなく、救急外来や消化器外科を検討しなければならない局面があります。いわゆる「急性腹症」と呼ばれる状態であり、迅速な手術や専門的な処置が必要な疾患が含まれているからです。判断の目安として、まず痛みのあまり歩くことができない、横になって丸まっていないと耐えられないといった強度の痛みがある場合は危険信号です。また、お腹を軽く押さえてパッと離したときに激痛が走る「反跳痛」がある場合や、お腹全体がカチカチに硬くなっている場合は、腹膜炎を起こしている可能性があり、一刻を争います。発熱を伴う場合や、嘔吐が止まらない、あるいは排便やガスが全く出なくなってしまった場合は、腸閉塞や虫垂炎、胆嚢炎などの急性疾患が疑われます。こうしたケースでは内科的な投薬治療だけでは不十分で、外科的な介入が必要になることが多いため、消化器外科の医師がいる医療機関を受診することが望ましいと言えます。また、高齢者の場合は痛みの感じ方が鈍くなっていることがあり、それほど痛がっていなくても実際には腸に穴が開いているような重篤な状態であることも珍しくありません。周囲が顔色の悪さや血圧の低下、意識の混濁などに気づいた場合は、直ちに救急車を呼ぶ判断が求められます。お腹痛いという症状の裏には、大動脈解離や心筋梗塞といった命に直結する血管の病気が隠れていることもあり、これらは「胸よりもお腹が痛い」と訴えることがあるため注意が必要です。救急外来では、血液検査やCT検査を迅速に行い、緊急性が高い病気かどうかを即座に判断します。もし夜間や休日にお腹痛いと苦しむ家族がいるなら、無理に我慢をさせず、地域の救急医療情報センターなどに電話をして受診すべき病院を確認してください。早期の診断と治療開始が、その後の回復を大きく左右します。激しい腹痛は、体の中で何らかの緊急事態が発生しているという警告であり、その警告を正しく受け取り、適切な医療機関に繋げることが、最悪の事態を防ぐ唯一の手段なのです。