本症例は、普段から健康で認可保育園に通う一歳二ヶ月の男児Aくんの臨床経過を詳細に追ったものである。発症一日目、午前十時頃に保育園から「三十八度五分の発熱がある」との連絡があり、母親が早退してお迎えに向かった。帰宅後、体温は三十九度八分に上昇。Aくんは水分は摂取できるものの、元気がなく、普段よりも眠りがちであった。近隣の小児科を受診したが、咽頭の発赤は軽微で、咳や鼻水の随伴症状も認められなかったため、医師は突発性発疹を視野に入れつつ対症療法(解熱用座薬の処方)を指示した。発症二日目および三日目、高熱は持続し、三十九度から四十度の間を推移した。座薬を使用すると一時的に三十八度台まで下がるが、数時間で再び跳ね上がるという「ノコギリ状」の熱型を呈した。この間、Aくんは離乳食をほとんど受け付けず、母乳と経口補水液のみで過ごした。発症四日目、朝の検温で三十七度一分と劇的な解熱を認めた。しかし、同時に顔面および胸部から腹部にかけて、直径二、三ミリの淡紅色の斑状丘疹が出現。母親は解熱による回復を期待したが、Aくんの不機嫌が顕著となり、わずかな離床も許さず泣き続ける状態となった。保育園には「熱は下がったが発疹と強い不機嫌がある」旨を連絡し、欠席を継続した。発症五日目、発疹は四肢にまで広がったが、色調はやや褪色し始めた。不機嫌の程度は前日をピークにやや緩和したが、依然として夜泣きが激しく、親の負担は最大となった。この日、再受診した小児科にて「突発性発疹の回復期」であるとの確診を得た。医師からは「明日の朝、機嫌が良ければ登園可能」との指導を受けた。発症六日目、発疹はほぼ消失。朝の機嫌も良好で、自らオモチャで遊び始める様子が見られた。朝食も普段の八割程度を摂取できたため、保育園への登園を再開。園では連絡帳に「病み上がりなので疲れやすい可能性がある」旨を記載し、午睡を長めにとるなどの配慮を依頼した。本症例において、熱による欠席は三日間であったが、その後の不機嫌による調整期間を含めると、トータルで五日間の家庭内療養が必要となった。この事例が示す通り、突発性発疹のケアにおいては「熱が下がってからの二日間」をいかにマネジメントするかが、社会生活との両立における最大の鍵となる。医療的な解熱判断と、生活者としての活動能力の乖離を親が正確に認識し、園と共有したことが、Aくんの再発や過度な疲弊を防ぐ結果に繋がったと考えられる。
突発性発疹を発症した一歳児の症例研究。発熱から保育園復帰までの六日間