現場で日々患者さんと向き合っている内科医の立場から、新型コロナウイルスが感染症法上の「五類」に移行した後の受診のあり方について、改めて整理してお話ししたいと思います。診察室で多くの患者さんから「もう普通にどの病院でも診てもらえるんですよね?」という質問をいただきますが、答えは「イエス」であり、同時に「注意が必要」でもあります。五類になったことで、理論上はすべての医療機関が新型コロナの診療に関わることができるようになりました。しかし、現実には病院の構造上、動線を完全に分けることが難しい小規模なクリニックもあり、現在も「発熱患者は予約制」としているところが多いのが実情です。したがって、新型コロナを疑って何科を受診すべきか迷ったとき、最初のアクションは「電話による問い合わせ」に尽きます。これこそが、令和の時代の正しい受診作法です。私たちが診察で最も重視するのは、単にコロナかどうかを判定することではなく、患者さんの現在の重症度を正しく評価することです。若い方で症状が軽い場合は、自宅での抗原検査キットの結果を報告していただき、オンライン診療で薬を処方するだけで十分なケースも増えています。しかし、高齢の方や妊婦さん、あるいは呼吸に少しでも違和感を覚える方については、直接対面での診察を行い、血中酸素飽和度の測定や肺の音を確認することが不可欠です。診療科については、やはり全身を包括的に診られる内科が基本ですが、お子さんの場合は小児科が専門的な判断を下します。小児科医は、子供特有の脱水症状や意識状態の変化を見抜くプロであり、親御さんの不安にも寄り添った指導を行ってくれます。最近の傾向として、受診を躊躇して自宅で我慢しすぎた結果、細菌性肺炎などの二次感染を引き起こしてから来院されるケースが散見されます。五類になったからといって、コロナが風邪と同じ程度に弱毒化したわけではありません。「何科に行けばいいのか」と悩むあまり時間を浪費するのではなく、まずは地域の内科や小児科に電話を一本入れてみる。その一歩が、自身の健康と周囲への安全を守る最大の防壁となります。医療機関側も、かつての混乱を経て、より効率的で安全な受け入れ態勢を整えています。私たちは皆さんが安心して相談できる準備をして待っていますので、迷わずプロの判断を仰いでください。
医師が語る五類移行後の適切なコロナ受診の作法