病気や怪我で体調を崩し、必死の思いで病院を受診した際、その場では診断書の必要性にまで頭が回らないことは決して珍しくありません。自宅に戻り、会社や学校から提出を求められて初めて「診断書をもらっておけばよかった」と後悔する方は多いものです。結論から申し上げますと、過去に受診した事実に基づいた診断書をあとから書いてもらうことは、基本的には可能です。日本の医療現場において、診断書は医師が診察の結果や経過を証明する公的な文書であり、カルテに当時の診察記録が正確に残っていれば、後日それを基に発行することができます。しかし、ここで重要になるのは「受診したことがない日の分については書けない」という厳格なルールです。医師法第十九条では、医師は自ら診察しないで処方箋を交付したり、診断書を交付したりしてはならないと定められています。したがって、例えば一週間前に体調を崩したが一度も病院に行かず、今になって「先週一週間休んでいたという診断書を書いてほしい」と頼んでも、医師は診察していない期間の証明を行うことはできません。一方で、受診当日に依頼を忘れただけであれば、カルテに記載された病名や症状、加療期間に基づき、後から発行を依頼することは正当な手続きとして認められます。依頼のタイミングについては、受診から数日以内であればスムーズですが、数週間や数ヶ月経過してからでも、カルテの保存期間内(法的には五年間)であれば物理的には可能です。ただし、時間の経過とともに医師の記憶が薄れたり、当時の症状の緊急性が判断しにくくなったりするため、必要だと分かった時点ですぐに医療機関へ連絡することが賢明です。また、あとから書いてもらう際には、再度「文書作成料」という手数料が発生します。この費用は健康保険が適用されない自由診療の扱いとなるため、医療機関によって金額は異なりますが、一般的には三千円から五千円程度、複雑な内容であれば一万円を超えることもあります。受診した本人ではなく家族が代理で受け取る場合には、委任状や身分証明書の提示を求められることもあります。診断書は単なる紙切れではなく、医師の責任において発行される法的根拠を持った文書です。あとから依頼する場合でも、病院側は事務的な手続きとして日常的に対応していますので、過度に遠慮する必要はありません。まずは電話で「〇月〇日の受診についての診断書をお願いしたい」と伝え、作成に要する時間や受け取り方法を確認することから始めましょう。適切な手順を踏めば、過去の受診を証明する確かな文書を手にし、社会的な手続きを滞りなく進めることができるはずです。
診断書をあとから書いてもらうことは可能なのかという疑問への回答