喉の痛みが、喉全体ではなく、「右側だけ」「左側だけ」というように、片側に偏って強く感じられる場合、それは、いくつかの特定の病気の可能性を示唆する、重要なサインです。このような片側性の痛みを感じた時は、より詳細な診察が必要となるため、「耳鼻咽喉科」を受診するのが、最も適切な選択と言えるでしょう。まず、最も頻度が高い原因が、片側の扁桃腺に、急性の炎症が起こる「急性扁桃炎」です。ウイルスや細菌が、片方の扁桃腺に、より強く感染することで、そちら側だけが、赤く大きく腫れあがり、強い痛みを引き起こします。発熱や、倦怠感を伴うことも多いです。次に、この急性扁桃炎が、さらに悪化した状態である「扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍」も、片側性の激しい痛みの、代表的な原因です。これは、扁桃腺の炎症が、その周囲の組織にまで波及し、膿のたまり(膿瘍)を形成してしまう病気です。痛みは、耳や首にまで放散し、強烈な嚥下痛のために、食事や水分が全く摂れなくなります。また、膿瘍によって、喉の奥が押しやられるため、口が開きにくくなったり(開口障害)、声がこもったりするのが、特徴的なサインです。この場合は、抗生物質の点滴治療と共に、切開して膿を排出する処置が必要となる、緊急性の高い状態です。また、口内炎の一種である「アフタ性口内炎」が、たまたま喉の片側の粘膜にできた場合も、限局した強い痛みを引き起こします。その他、稀ではありますが、「急性喉頭蓋炎」の初期に、痛みが片側に偏って感じられることもあります。そして、中高年以降で、特に注意が必要なのが、喉の「悪性腫瘍(がん)」です。咽頭がんや喉頭がんなどが、初期の症状として、治りにくい、片側性の喉の痛みや、違和感、飲み込みにくさを、引き起こすことがあります。喫煙や、多量の飲酒習慣がある人で、数週間にわたって、片側の喉の痛みが続く場合は、絶対に放置せず、必ず耳鼻咽痕科で、ファイバースコープによる精密検査を受けてください。片側だけの痛みは、体が発する、局所的な異常のサインです。安易に考えず、専門医の診察を受けることが大切です。