女性で、ものもらいを繰り返す場合、毎日の「アイメイク」の習慣が、その原因となっている可能性も考える必要があります。アイメイクは、目を大きく、魅力的に見せるためのものですが、その一方で、まぶたの衛生環境を悪化させ、ものもらい(麦粒腫)や、その仲間である霰粒腫(さんりゅうしゅ)のリスクを高める要因にもなり得るのです。まず、最も直接的な原因となるのが、まつ毛の内側の粘膜部分にまでアイライナーを引く「インサイドライン」や「タイトライン」と呼ばれるメイク法です。この粘膜部分には、涙の油分を分泌して、目の乾燥を防ぐための「マイボーム腺」という、非常に重要な器官の出口が、ずらりと並んでいます。アイライナーの粒子で、これらの出口を塞いでしまうと、脂分の分泌が滞り、腺の中に脂が溜まってしまいます。これが、痛みを伴わないしこりができる「霰粒腫」の直接的な原因となります。そして、この詰まった腺に細菌が感染すれば、赤く腫れて痛む「急性霰粒腫」や「内麦粒腫」に移行してしまうのです。また、「マスカラ」や「つけまつ毛の接着剤」も、まつ毛の毛根周辺の毛穴を詰まらせ、細菌が繁殖しやすい環境を作る原因となります。特に、ウォータープルーフタイプの落ちにくいマスカラや、重ね塗りは、毛穴への負担が大きくなります。そして、さらに重要なのが、「メイク落とし」のプロセスです。アイメイクが、専用のリムーバーで、完全に、そして優しく落としきれていないと、残ったメイクの汚れや皮脂が、夜の間に、細菌の栄養源となってしまいます。ゴシゴシと強くこするようなクレンジングは、まぶたのデリケートな皮膚を傷つけ、そこから細菌が侵入するきっかけにもなりかねません。さらに、見過ごされがちなのが、「メイク道具の衛生管理」です。アイシャドウのチップやブラシ、アイライナーの筆先、マスカラのブラシなどを、長期間洗わずに使い続けていると、そこに雑菌が繁殖します。メイクをするたびに、その菌を目に塗り込んでいるようなものであり、感染のリスクを高めるのは当然です。ものもらいを繰り返す場合は、一度、アイメイクの習慣を見直し、帰宅後はすぐに、ポイントメイクリムーバーで優しく丁寧にメイクを落とす、そしてメイク道具は定期的に洗浄・交換するといった、基本的な衛生管理を徹底することが、再発防止に繋がります。