「咳」という、ありふれた症状だからこそ、その裏に隠された、様々な病気の可能性を見逃さず、適切な行動をとることが重要です。ここでは、これまでの内容を総括し、「咳」で悩んだ際に、どのように考え、どの診療科を目指すべきかの、行動指針を整理します。Step 1:咳の「期間」と「緊急性」で、最初の行動を決める。①2週間未満の、急性の咳 → 発熱や鼻水、喉の痛みを伴う場合は、風邪や急性気管支炎の可能性が高いです。まずは、かかりつけの「内科」(子どもの場合は「小児科」)を受診し、初期治療を受けましょう。②2週間以上続く、長引く咳 → 単なる風邪ではない可能性が高まります。より専門的な検査が必要となるため、「呼吸器内科」への受診を、強くお勧めします。③緊急性を要する咳 → 「息苦しさ」「胸の痛み」「血痰」などを伴う場合は、肺炎や心不全、肺塞栓症といった、重篤な病気の可能性があります。ためらわずに、夜間や休日であっても、救急外来を受診してください。Step 2:「咳以外の伴う症状」で、専門科を絞り込む。①鼻水、鼻づまり、喉への痰の落下感(後鼻漏)が強い場合 → 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が、咳の原因かもしれません。「耳鼻咽喉科」が専門です。②胸やけ、酸っぱいものがこみ上げてくる感じがある場合 → 逆流性食道炎を疑い、「消化器内科」へ相談します。③ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴う場合 → 気管支喘息や咳喘息の可能性が高く、吸入薬による治療が必要なため、「呼吸器内科」が最適です。**Step 3:「それでも判断に迷う場合」の行動。**どの症状も当てはまるようで、わからない。そんな時は、医療の最も基本的な窓口である「一般内科」や「総合診療科」を受診するのが、最も賢明な選択です。総合的な視点から、あなたの症状を評価し、最も可能性の高い原因を探り、必要であれば、最適な専門科へと、スムーズに導いてくれます。咳は、我慢しても良いことはありません。この思考プロセスを参考に、専門医の助けを借りて、つらい症状から、一日も早く解放されましょう。
まとめ。咳で迷ったら、どう考え、どう行動すべきか