喉の痛みに加えて、発熱や、咳、鼻水、頭痛、そして体中の関節が痛むといった、いわゆる「風邪」のような「全身症状」が、同時に、あるいは主体となって現れている場合。このような時は、特定の臓器に限定せず、体全体を総合的に診てくれる「内科」を受診するのが、非常に適しています。内科医は、喉の炎症を、全身に起きている、一つの感染症の、局所的なサインとして捉え、幅広い視点から、その原因を探っていきます。内科での診察は、まず丁寧な問診から始まります。喉の痛みの程度だけでなく、熱の経過や、咳、鼻水の性状、食欲や睡眠の状態、そして、家族や職場といった、周囲での感染症の流行状況などを、詳しく聞き取ります。これらの情報が、原因となっている病原体(ウイルスなのか、細菌なのか)を推測する上で、重要な手がかりとなります。次に、喉の視診に加え、聴診器で胸の音を聞き、肺炎や気管支炎を合併していないか、リンパ節の腫れがないかなど、全身の身体診察を行います。そして、必要に応じて、検査が行われます。例えば、インフルエンザが流行している時期であれば、「インフルエンザの迅速検査」が、また、喉の赤みや腫れが非常に強く、扁桃腺に白い膿が付着している場合は、溶連菌感染症を疑い、「溶連菌の迅速検査」が行われます。これらの検査は、鼻や喉の粘液を綿棒で採取し、10~15分程度で結果が判明するため、その日のうちに、診断を確定させ、原因に基づいた、的確な治療を開始することが可能です。治療は、原因がウイルスであれば、解熱鎮痛薬や、咳止め、うがい薬といった、症状を和らげる「対症療法」が中心となります。一方、溶連菌などの細菌が原因であると確定すれば、原因菌を叩くための「抗生物質」が処方されます。このように、内科は、喉の痛みという一つの症状から、その背景にある全身の状態を読み解き、適切な検査と治療へと導いてくれる、最も身近で、頼りになる医療の窓口なのです。
内科での診察、全身症状を伴う喉の痛み