「外科」と聞くと、多くの人が「手術をする科」というイメージを持つでしょう。そのイメージは、まさにその通りです。外科は、主に手術的なアプローチ、すなわち、メスなどを用いて、患部を切開したり、切除したり、あるいは縫合したりすることで、病気や怪我を治療する診療科です。内科が、薬物療法を主軸とする「内からのアプローチ」であるのに対し、外科は、手術を主軸とする「外からのアプローチ」と言えるでしょう。では、どのような症状があれば、外科を受診すべきなのでしょうか。まず、最も分かりやすいのが、「怪我(外傷)」です。包丁で深く指を切ってしまった「切り傷」や、転んで皮膚が大きく擦りむけた「擦り傷」、あるいは、交通事故やスポーツで、お腹や胸を強く打った「打撲」など、縫合処置や、内部の損傷の評価が必要な場合は、外科が対応します。特に、腹部を強く打った後は、肝臓や脾臓といった内臓が損傷している(内臓損傷)可能性があり、緊急手術が必要となることもあるため、速やかな受診が不可欠です。次に、体の表面にできた「しこり」や「できもの」も、外科の領域です。皮膚の下にできた、柔らかい脂肪の塊(脂肪腫)や、硬いしこり(粉瘤など)で、切除を希望する場合は、外科での日帰り手術が可能です。また、腹部の症状では、「急性虫垂炎(盲腸)」が、外科で扱う代表的な緊急疾患です。みぞおちの痛みから始まり、徐々に右下腹部に痛みが移動し、吐き気や発熱を伴う場合は、虫垂炎を強く疑い、直ちに外科を受診する必要があります。放置すると、腹膜炎という命に関わる状態になる危険性があります。その他、腸が詰まってしまう「腸閉塞(イレウス)」や、お腹の壁の弱い部分から腸が飛び出す「ヘルニア(脱腸)」、そして、胃がんや大腸がんといった、「消化器がん」の診断と手術治療も、外科(特に消化器外科)の重要な役割です。内科と同様に、外科もまた、「消化器外科」「心臓血管外科」「呼吸器外科」「乳腺外科」といったように、専門分野が細分化されています。どの外科に行けばよいか迷う場合は、まずは「一般外科」を受診し、そこから適切な専門外科へ紹介してもらうのが良いでしょう。
外科の役割、手術が必要な病気や怪我