夏の不調として多くの人が経験する、だるさ、食欲不振、そして頻尿。これらの症状が現れた時、「夏バテだろう」「熱中症のなりかけかな」と自己判断してしまいがちです。しかし、これらの症状の組み合わせは、時に全く別の病気が隠れているサインである可能性もあり、注意深い観察が必要です。まず、熱中症の文脈で頻尿が起こる場合、その多くは「水分の摂り方の間違い」に起因します。塩分補給を伴わない水だけの過剰摂取により、体液が薄まり、それを補正するために尿量が増えるというケースです。この場合、だるさや頭痛といった熱中症特有の症状も同時に現れます。一方で、夏という季節が引き金となり、頻尿を主症状とする他の病気が発症・悪化することもあります。その代表的なものが「糖尿病」です。糖尿病の典型的な初期症状には、異常な喉の渇き(口渇)、多飲、そして多尿があります。夏場は誰でも喉が渇き、水分を多く摂るため、これらの症状が病的なものであると気づきにくいのです。血糖値が高い状態が続くと、体は余分な糖を尿と一緒に排出しようとするため、尿量が増え、その結果として脱水状態になり、さらに喉が渇くという悪循環に陥ります。このだるさは、単なる夏バテではなく、エネルギー源である糖がうまく利用できていないために生じている可能性があります。また、「膀胱炎」も夏に起こりやすい病気の一つです。汗を多くかくことで体内の水分が不足し、尿が濃縮されると、細菌が膀胱内で繁殖しやすくなります。膀胱炎の症状は、頻尿、排尿時痛、残尿感などです。熱中症予防のために水分をたくさん摂ることは膀胱炎の予防にも繋がりますが、逆に水分不足が引き金になることもあるのです。このように、夏の頻尿は様々な原因によって引き起こされます。もし、適切な水分・塩分補給を心がけても頻尿とだるさが改善しない場合や、異常な喉の渇き、排尿時の痛みなどを伴う場合は、自己判断で済ませずに、一度内科や泌尿器科などの医療機関を受診し、専門家の診断を仰ぐことが賢明です。
夏バテか熱中症かそれとも別の病気か頻尿から考える