「息を吸うと胸が痛い」という症状は、多くの人を不安にさせる代表的なものの一つです。深く息を吸い込んだ時、咳やくしゃみをした時、あるいは体をねじるような動作をした時に、胸や背中にピリッとした鋭い痛みが走る。これは、肋間神経痛で非常によく見られる特徴的な症状です。なぜなら、これらの動作は肋骨と肋骨の間にある肋間筋を動かし、その間を走っている肋間神経を刺激するからです。痛みが特定の動作に連動している場合、心臓の病気のように持続的に痛むものとは性質が異なり、肋間神経痛の可能性が高いと考えられます。しかし、「動作時だけ痛むから大丈夫」と安易に自己判断するのは早計です。この症状を、病院を受診すべきかどうかの目安として、どのように考えればよいのでしょうか。まず、痛みの強さが一つの判断基準になります。息を吸うのがためらわれるほど痛みが強い場合や、その痛みのせいで日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに受診すべきです。痛みをかばって浅い呼吸を続けていると、十分な換気ができずに他の不調を招くこともあります。次に、症状の持続期間です。数時間から一日程度で自然に痛みが消えることもありますが、二、三日以上たっても痛みが続く、あるいはだんだん痛みが強くなってくるような場合は、一度医師に相談した方がよいでしょう。特に注意が必要なのは、痛み以外の症状を伴う場合です。息を吸った時の痛みに加えて、息苦しさや呼吸困難感を伴う場合は、肺に穴が開く気胸や、胸に水がたまる胸膜炎などの可能性があります。また、発熱や体のだるさ、皮膚の発疹などを伴う場合も、単なる神経痛ではない可能性を考え、速やかに医療機関を受診してください。特定の動作で誘発される痛みは肋間神経痛を疑うきっかけになりますが、それを最終的な判断材料とせず、強さや期間、他の症状の有無を総合的に見て、不安があれば専門家の診断を仰ぐという姿勢が大切です。