更年期の不調で病院を受診すると、具体的にどのような治療が行われるのでしょうか。治療法についてあらかじめ知っておくことは、安心して医師に相談するための助けになります。受診する診療科によってもアプローチは異なりますが、ここでは主に婦人科で行われる代表的な治療法について解説します。更年期治療の柱となるのが「ホルモン補充療法(HRT)」です。これは、減少した女性ホルモン(エストロゲン)を飲み薬や貼り薬、塗り薬などで少量補充することで、ホルモンバランスの急激な変化を緩やかにし、ほてりやのぼせ、発汗といった症状を根本から改善する治療法です。骨密度の低下を防ぎ、骨粗しょう症を予防する効果や、肌の潤いを保つ効果も期待できます。ただし、乳がんや子宮体がん、血栓症などの既往歴がある場合は適用できないこともあるため、医師との十分な相談が必要です。次に、日本の更年期治療で広く用いられているのが「漢方薬」です。漢方医学では、心と体のバランスの乱れを整えることを目的としており、「気・血・水」の考え方に基づいて、個々の体質や症状に合わせた処方を行います。冷えや疲労感、イライラ、不眠など、ホルモン補充療法だけでは改善しきれない複雑な症状にも効果が期待できるのが特徴です。ホルモン補充療法に抵抗がある方や、体質的に合わない方にも良い選択肢となります。また、精神的な症状が強い場合には、「向精神薬」が用いられることもあります。気分の落ち込みがひどい場合には抗うつ薬、強い不安感や緊張には抗不安薬などが処方され、つらい心の症状を和らげる手助けとなります。これらの薬は心療内科や精神科が専門ですが、婦人科医が処方することもあります。これらの薬物療法のほか、医師によるカウンセリングや生活習慣の指導も重要な治療の一部です。どの治療法が最適かは人それぞれです。婦人科医とよく相談し、自分の体と心に合った方法を見つけていくことが大切です。
知っておきたい更年期の治療法!何科で何ができるのか