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まとめ。喉の痛みで迷ったら、どう考え、どう行動すべきか
「喉が痛い」という、ありふれた症状だからこそ、その裏に隠された、様々な病気の可能性を見逃さず、適切な行動をとることが重要です。ここでは、これまでの内容を総括し、「喉の痛み」で悩んだ際に、どのように考え、どの診療科を目指すべきかの、行動指針を整理します。Step 1:喉以外の「全身症状」の有無で、最初の窓口を決める。①発熱、咳、鼻水、倦怠感など、全身の風邪症状が主体の場合 → まずは、かかりつけの「内科」(子どもの場合は「小児科」)を受診し、総合的な診断と治療を受けるのが、最も一般的で、安心です。インフルエンザや、溶連菌の迅速検査も、内科で行えます。②喉の痛みが、他の症状より、群を抜いて強い場合 → つばも飲み込めないほどの激痛や、声がれ、飲み込みにくさがあるなら、喉の専門家である「耳鼻咽喉科」が、最も専門性の高い選択肢です。専門的な処置で、つらい痛みを、効果的に和らげてもらえる可能性があります。Step 2:「危険なサイン(レッドフラッグサイン)」がないか、チェックする。①息苦しさ、呼吸困難、よだれが垂れ流し → 窒息の危険がある「急性喉頭蓋炎」の可能性があります。ためらわずに、直ちに救急車を呼ぶか、救急病院へ向かってください。②口が開きにくい、声がこもる、片側の激痛 → 「扁桃周囲膿瘍」を疑います。これも、耳鼻咽喉科での、緊急の処置が必要です。Step 3:「喉の見た目」や「他の特徴」で、原因を推測する。①喉の奥に、白い水ぶくれや潰瘍がある → ヘルパンギーナを疑います。手足にも発疹があれば、手足口病です。②扁桃腺が真っ赤で、白い膿が付着し、舌がイチゴのよう → 溶連菌感染症の可能性が高いです。③口の中や、体に、他の発疹がある → ウイルス性の発疹症の可能性を考え、内科や小児科へ相談します。喉の痛みは、我慢しても、良いことはありません。この思考プロセスを参考に、ご自身の症状と向き合い、適切な医療機関に相談することで、つらい症状から、一日も早く解放されましょう。
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声がれや飲み込みにくさを伴う喉の痛み
喉の痛みに加えて、「声がかすれて、出にくい(嗄声・させい)」、あるいは、「食べ物や飲み物が、うまく飲み込めない、むせる(嚥下困難)」といった症状が、強く現れている場合。それは、炎症が、喉のさらに奥深く、声帯や、その周辺の「喉頭(こうとう)」と呼ばれる部分にまで、及んでいるサインかもしれません。このような症状が見られる場合は、喉の奥を直接、詳細に観察できる、「耳鼻咽喉科」の受診が、強く推奨されます。声がれの原因として、最も多いのが、声帯そのものに炎症が起こる「急性声帯炎」です。風邪のウイルスなどが原因で、声を出すための、左右一対のヒダである声帯が、赤く腫れて、正常に振動できなくなることで、声がかすれてしまいます。喉の痛みや、咳を伴うことが多く、治療の基本は、とにかく声を出さない「沈黙療法」です。炎症を抑える薬の吸入(ネブライザー治療)も、有効です。一方、より注意が必要なのが、喉の痛みと、飲み込みにくさ、そして、声が、まるでジャガイモが口の中にあるかのように、こもって聞こえる「含み声」が、同時に現れた場合です。これは、喉頭の中でも、気道の入り口の蓋の役割をしている「喉頭蓋(こうとうがい)」という部分に、急激な炎症と腫れが起こる「急性喉頭蓋炎」の可能性があります。喉頭蓋がパンパンに腫れあがると、気道を塞いでしまい、窒息に至る危険性がある、極めて緊急性の高い病気です。息苦しさ(特に、息を吸う時)を伴う場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急病院を受診する必要があります。また、喉の痛みが、片側に非常に強く、口が開きにくい(開口障害)といった症状がある場合は、「扁桃周囲膿瘍」の可能性も考えられます。これは、扁桃炎の炎症が、扁- chí腺の周囲にまで波及し、膿の塊を作ってしまう状態で、声がこもり、飲み込みにくさを伴います。この場合も、切開して膿を出す処置が必要となるため、耳鼻咽喉科での専門的な対応が不可欠です。