めまいの中には、脳の異常が原因で起こる「中枢性めまい」と呼ばれるタイプがあり、これらは時に命に関わるため、迅速な対応が求められます。このような危険なめまいを見分けるためには、伴っている他の症状に注意することが極めて重要です。脳が原因のめまいを疑い、「脳神経外科」または「脳神経内科」を直ちに受診すべき危険なサインは以下の通りです。まず、「突然発症し、これまでに経験したことのないような強いめまいやふらつき」で、まっすぐに立っていられない、歩けないといった症状がある場合です。特に、回転する感じは少ないのに、体が雲の上を歩いているようにふわふわする、といった感覚が特徴です。そして、最も重要なのが「神経症状」を伴っているかどうかです。具体的には、「激しい頭痛(特に後頭部)」「ろれつが回らない、言葉が出てこない」「物が二重に見える(複視)」「視野が欠ける」「顔や手足の片側がしびれる、感覚が鈍い」「片方の手足に力が入らない、麻痺している」といった症状です。これらの神経症状は、脳の中の小脳や脳幹といった、体のバランスを保つ上で中心的な役割を担う部分に、異常が起きていることを強く示唆します。原因となる代表的な病気は、「脳梗塞」や「脳出血」といった脳卒中です。これらの病気は、治療の開始が遅れるほど、後遺症が重くなったり、命を落としたりする危険性が高まります。上記のような神経症状を伴うめまいが一つでも見られた場合は、絶対に様子を見たり、自分で運転して病院へ行ったりしてはいけません。ためらわずに救急車を呼び、CTやMRIといった高度な画像検査が可能な医療機関へ、一刻も早く搬送してもらうことが何よりも大切です。