数ある診療科の中で、最も守備範囲が広く、体の不調を感じた時の、最初の相談窓口として、最も頼りになるのが「内科」です。内科は、主に手術以外の方法、すなわち薬物療法や生活習慣指導などを通じて、体の内側から生じる様々な病気の診断と治療を行う、医療の根幹をなす診療科です。風邪やインフルエンザといった、日常的な急性の感染症から、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった、長期的な管理が必要な「生活習慣病」、さらには、胃炎や肺炎、気管支喘息といった、各臓器の炎症性疾患まで、その対象は非常に多岐にわたります。内科の最大の特徴は、特定の臓器に限定せず、「全身を総合的に診る」という視点を持っていることです。例えば、患者さんが「めまい」を訴えて受診した場合、内科医は、耳や脳の問題だけでなく、貧血や不整脈、あるいは自律神経の乱れといった、全身的な要因が隠れていないかを、幅広い知識の中から探っていきます。この総合的なアプローチこそが、原因がはっきりしない症状の、初期診断(プライマリ・ケア)において、内科が中心的な役割を担う理由なのです。近年、内科はさらに専門分野が細分化されており、「消化器内科」「循環器内科」「呼吸器内科」「糖尿病・内分泌内科」「腎臓内科」「リウマチ・膠原病内科」といった、専門内科が存在します。もし、自分の症状が、特定の臓器に明らかに関連していると分かっている場合(例えば、胸の痛みが心臓に由来すると感じるなら循環器内科)は、最初から専門内科を受診するのがスムーズです。しかし、「何が原因かわからないけれど、とにかく体調が悪い」という、漠然とした不調の場合や、どの専門科に行けばよいか全く見当がつかない場合は、まずは「一般内科」や「総合内科(総合診療科)」の扉を叩いてください。そこで、経験豊富な内科医が、あなたの話に耳を傾け、必要な検査を行い、診断への道筋をつけてくれます。そして、もし、より専門的な治療が必要だと判断されれば、責任を持って、最適な専門科へと、スムーズに橋渡しをしてくれるはずです。
内科とはどんな科?迷ったらまず相談を