子どもの頬が赤くなっているのを見ると、多くの人が、まず「りんご病かな?」と考えるかもしれません。しかし、頬が赤くなる原因は、りんご病だけではありません。中には、適切な対応が必要な、他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断は禁物です。りんご病と間違いやすい、頬が赤くなる代表的な病気を、いくつか紹介します。まず、乳幼児に多いのが、単純な「乳児湿疹」や「乾燥による頬の荒れ」です。特に、冬場の乾燥した空気や、よだれ、食べこぼしなどの刺激で、頬の皮膚がカサカサになり、赤みを帯びることがあります。これは、保湿ケアが基本となります。次に、溶連菌感染症に伴う発疹である「猩紅熱(しょうこうねつ)」でも、顔に発疹が出ることがあります。猩紅熱の発疹は、頬が赤くなりますが、口の周りだけが白く抜ける「口囲蒼白」が見られるのが特徴です。また、舌がイチゴのように赤くブツブツになる「いちご舌」や、紙やすりのようにザラザラした、細かい発疹が、全身に広がります。溶連菌は、細菌感染なので、抗生物質による治療が必須です。アレルギー性の疾患も、頬の赤みの原因となります。「アトピー性皮膚炎」では、頬に、かゆみを伴う、ジクジクとした湿疹ができやすいです。また、特定の食物や、化粧品、塗り薬などが原因で起こる「接触皮膚炎(かぶれ)」も、頬に赤みやブツブツを引き起こします。全身性の自己免疫疾患である「全身性エリテマトーデス(SLE)」では、鼻から両頬にかけて、蝶が羽を広げたような形に、特徴的な赤い発疹(蝶形紅斑)が現れることがあります。これは、発熱や関節痛といった、全身症状を伴う、内科的な病気です。そして、寒い地方の幼児に見られる「小児顔面紅色丘疹」や、リンゴ病とは関係ない「伝染性紅斑様皮疹」など、専門家でなければ鑑別の難しい病気もあります。これらの病気を見分けるためには、頬の赤みだけでなく、発熱の有無や、他の部位の発疹、全身症状などを、総合的に判断する必要があります。気になる場合は、まず、かかりつけの「小児科」や「皮膚科」を受診し、正しい診断を受けることが大切です。