更年期に現れる症状は個人差が大きく、非常に多彩です。そのため、自分の不調が本当に更年期によるものなのか、それとも別の病気が隠れているのか、判断に迷うことがよくあります。特に、動悸やめまい、高血圧といった症状は、内科系の疾患とも共通するため、何科を受診すべきか悩む大きな原因となります。ここで一つの判断軸となるのが、症状が「月経周期と連動しているか」という点です。もし、不調の波が月経の周期に合わせて強くなったり弱くなったりするようであれば、女性ホルモンの影響、つまり更年期が関連している可能性が高いと考えられます。例えば、生理前になると特にイライラがひどくなる、排卵期あたりに頭痛がするなど、周期性が見られる場合は、まず婦人科に相談してみるのが良いでしょう。一方で、月経周期とは全く関係なく、症状が持続的に現れる、あるいは悪化していく場合は、他の病気の可能性も視野に入れる必要があります。例えば、急に激しい動悸が起こる、胸に痛みを感じるといった場合は、循環器内科で心臓の検査を受けることが優先されます。また、体重が急激に減少する、異常に喉が渇くといった症状があれば、糖尿病などを疑って内科を受診すべきです。甲状腺機能の異常も、ほてりや倦怠感など更年期と似た症状を引き起こすため、血液検査で確認することが重要です。一番良いのは、まずかかりつけの内科医に相談し、全身の状態をチェックしてもらうことです。内科医は総合的な診断のプロフェッショナルであり、検査の結果、内科的な疾患が見つからなければ、「婦人科で一度相談してみては」と適切なアドバイスをしてくれるはずです。自己判断で「これは更年期だから」と決めつけず、まずは体の危険なサインを見逃さないためにも、内科的なチェックを受けるという視点を持つことが、安心して更年期を乗り越えるために非常に大切です。
その症状は内科?婦人科?更年期で迷った時の判断軸