病気・治療法・薬の基礎知識を丁寧に解説

2025年9月
  • 危険なめまいのサイン、脳神経外科へ行くべき時

    医療

    めまいの中には、脳の異常が原因で起こる「中枢性めまい」と呼ばれるタイプがあり、これらは時に命に関わるため、迅速な対応が求められます。このような危険なめまいを見分けるためには、伴っている他の症状に注意することが極めて重要です。脳が原因のめまいを疑い、「脳神経外科」または「脳神経内科」を直ちに受診すべき危険なサインは以下の通りです。まず、「突然発症し、これまでに経験したことのないような強いめまいやふらつき」で、まっすぐに立っていられない、歩けないといった症状がある場合です。特に、回転する感じは少ないのに、体が雲の上を歩いているようにふわふわする、といった感覚が特徴です。そして、最も重要なのが「神経症状」を伴っているかどうかです。具体的には、「激しい頭痛(特に後頭部)」「ろれつが回らない、言葉が出てこない」「物が二重に見える(複視)」「視野が欠ける」「顔や手足の片側がしびれる、感覚が鈍い」「片方の手足に力が入らない、麻痺している」といった症状です。これらの神経症状は、脳の中の小脳や脳幹といった、体のバランスを保つ上で中心的な役割を担う部分に、異常が起きていることを強く示唆します。原因となる代表的な病気は、「脳梗塞」や「脳出血」といった脳卒中です。これらの病気は、治療の開始が遅れるほど、後遺症が重くなったり、命を落としたりする危険性が高まります。上記のような神経症状を伴うめまいが一つでも見られた場合は、絶対に様子を見たり、自分で運転して病院へ行ったりしてはいけません。ためらわずに救急車を呼び、CTやMRIといった高度な画像検査が可能な医療機関へ、一刻も早く搬送してもらうことが何よりも大切です。

  • ものもらいを繰り返す根本的な原因とは

    医療

    一度治ったはずの「ものもらい」が、しばらくするとまた同じような場所に、あるいは反対の目にできてしまう。このように、ものもらいを何度も繰り返してしまう場合、その背景には単なる不衛生だけでなく、より根本的な体質や生活習慣の問題が隠れている可能性があります。ものもらい、特に痛みを伴う「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」は、黄色ブドウ球菌などの常在菌が、まぶたの分泌腺や毛根に感染することで発症します。この菌は、普段から私たちの皮膚や髪に存在していますが、通常は体の防御機能によって、悪さをすることはありません。しかし、何らかの理由でこの防御機能が弱まると、菌が増殖しやすくなり、感染症であるものもらいを引き起こすのです。したがって、ものもらいを繰り返す根本的な原因は、「免疫力の低下」と「細菌が繁殖・侵入しやすい局所的な環境」という、二つの大きな要因に集約されます。免疫力の低下は、睡眠不足や過労、精神的なストレス、不規則な食生活などが引き金となります。また、糖尿病などの基礎疾患がある場合も、感染症に対する抵抗力が全体的に低下するため、ものもらいを繰り返しやすくなります。一方、局所的な環境要因としては、ドライアイやアレルギー性結膜炎による目のバリア機能の低下、不適切なコンタクトレンズの使用、あるいはアイメイクの習慣などが挙げられます。これらの要因が、一つ、あるいは複数絡み合うことで、「ものもらいになりやすい体質」が作られてしまうのです。再発の連鎖を断ち切るためには、目薬による対症療法だけでなく、これらの根本的な原因に目を向け、生活全体を見直していくという視点が、何よりも重要になります。

  • 子どもの咳、まず頼るべきは「小児科」

    医療

    子どもが、コンコン、ゴホゴホと咳をし始めると、親としては、非常に心配になるものです。特に、小さな子どもは、自分の症状をうまく言葉で表現できないため、その咳が、ただの風邪なのか、あるいは、もっと注意が必要な病気のサインなのか、判断に迷うことも多いでしょう。子どもの咳で、まず最初に、そして総合的に頼るべき診療科は、かかりつけの「小児科」です。小児科医は、単に小さな大人として子どもを診るのではなく、成長・発達の過程にある、子どもの体の特性を、深く理解しています。そして、子どもの咳の原因となる、多種多様な病気(RSウイルス感染症、クループ症候群、百日咳、気管支喘息など)の診断と治療に、最も精通している専門家です。子どもの気道は、大人に比べて、細く、粘膜もデリケートなため、わずかな炎症でも、症状が強く出やすいという特徴があります。例えば、「クループ症候群」は、ウイルス感染によって、声帯のあたりが急激に腫れる病気で、「犬が吠えるような」「オットセイの鳴き声のような」と表現される、特徴的な咳と、息を吸う時に、ヒューヒューという音(吸気性喘鳴)がするのが特徴です。夜間に悪化しやすく、窒息の危険もあるため、緊急の対応が必要です。また、乳幼児期に、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴と、湿った咳を繰り返す場合は、「RSウイルス感染症」による細気管支炎や、「乳児喘息」の可能性があります。小児科では、まず、聴診器で、胸の音を注意深く聞き、呼吸の状態(呼吸回数や、陥没呼吸の有無など)を、慎重に観察します。そして、子どもの年齢や、季節、周囲の流行状況などを考慮しながら、最も可能性の高い原因を推測します。治療も、子どもの年齢や体重に合わせて、薬の種類や量を、きめ細かく調整してくれます。また、気管支喘息が疑われる場合には、吸入薬の正しい使い方を、親子に丁寧に指導したり、アレルギーの原因を調べるための検査を行ったりもします。そして、何よりも、小児科医は、病気の子どもだけでなく、不安でいっぱいの保護者の心にも、寄り添ってくれます。子どもの咳で迷ったら、まずは、最も信頼できるパートナーである、かかりつけの小児科医に相談することから始めましょう。

  • 長引く咳や喘息の専門家「呼吸器内科」

    医療

    「風邪は治ったはずなのに、咳だけが、もう3週間以上も続いている」「季節の変わり目になると、決まって咳がひどくなる」「夜中や明け方に、咳き込んで目が覚める」。このような、長引く、あるいは特定のパターンを持つ咳に悩まされている場合、より専門的な診断と治療のために、受診を強くお勧めするのが「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、その名の通り、呼吸に関わる臓器、すなわち、気管、気管支、肺、そして胸膜などの病気を専門的に扱う、内科の一分野です。長引く咳(遷延性・慢性咳嗽)の原因は、多岐にわたりますが、呼吸器内科では、専門的な検査を駆使して、その原因を正確に突き止めていきます。代表的な検査には、「胸部X線(レントゲン)撮影」や、より詳細に肺を観察できる「胸部CT検査」といった画像検査があります。これらは、肺炎や肺結核、肺がんといった、重大な病気が隠れていないかを調べる上で、不可欠です。また、息を吸ったり吐いたりする能力を測定する「呼吸機能検査(スパイロメトリー)」は、「気管支喘息」や「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の診断に、非常に重要な検査です。気管支喘息は、気道に慢性的なアレルギー性の炎症が起こり、様々な刺激に対して気道が過敏になる病気で、咳だけが唯一の症状である「咳喘息」というタイプもあります。呼吸器内科では、これらの検査結果と、詳細な問診(アレルギー歴や喫煙歴など)を組み合わせ、咳の原因を診断します。治療も、専門性が高くなります。例えば、気管支喘息や咳喘息に対しては、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」が、治療の基本となります。この吸入薬を、正しく、そして継続的に使用することが、発作を予防し、症状をコントロールする鍵となります。呼吸器内科医や、専門の看護師は、患者さん一人ひとりに、吸入器の正しい使い方を、丁寧に指導してくれます。その他、マイコプラズマ肺炎や百日咳といった、特殊な感染症の診断と治療も、呼吸器内科の得意とするところです。しつこい咳に悩んでいるなら、呼吸器の専門家である、呼吸器内科医の力を借りるのが、解決への一番の近道です。

  • アイメイクの習慣が原因で繰り返すことも

    生活

    女性で、ものもらいを繰り返す場合、毎日の「アイメイク」の習慣が、その原因となっている可能性も考える必要があります。アイメイクは、目を大きく、魅力的に見せるためのものですが、その一方で、まぶたの衛生環境を悪化させ、ものもらい(麦粒腫)や、その仲間である霰粒腫(さんりゅうしゅ)のリスクを高める要因にもなり得るのです。まず、最も直接的な原因となるのが、まつ毛の内側の粘膜部分にまでアイライナーを引く「インサイドライン」や「タイトライン」と呼ばれるメイク法です。この粘膜部分には、涙の油分を分泌して、目の乾燥を防ぐための「マイボーム腺」という、非常に重要な器官の出口が、ずらりと並んでいます。アイライナーの粒子で、これらの出口を塞いでしまうと、脂分の分泌が滞り、腺の中に脂が溜まってしまいます。これが、痛みを伴わないしこりができる「霰粒腫」の直接的な原因となります。そして、この詰まった腺に細菌が感染すれば、赤く腫れて痛む「急性霰粒腫」や「内麦粒腫」に移行してしまうのです。また、「マスカラ」や「つけまつ毛の接着剤」も、まつ毛の毛根周辺の毛穴を詰まらせ、細菌が繁殖しやすい環境を作る原因となります。特に、ウォータープルーフタイプの落ちにくいマスカラや、重ね塗りは、毛穴への負担が大きくなります。そして、さらに重要なのが、「メイク落とし」のプロセスです。アイメイクが、専用のリムーバーで、完全に、そして優しく落としきれていないと、残ったメイクの汚れや皮脂が、夜の間に、細菌の栄養源となってしまいます。ゴシゴシと強くこするようなクレンジングは、まぶたのデリケートな皮膚を傷つけ、そこから細菌が侵入するきっかけにもなりかねません。さらに、見過ごされがちなのが、「メイク道具の衛生管理」です。アイシャドウのチップやブラシ、アイライナーの筆先、マスカラのブラシなどを、長期間洗わずに使い続けていると、そこに雑菌が繁殖します。メイクをするたびに、その菌を目に塗り込んでいるようなものであり、感染のリスクを高めるのは当然です。ものもらいを繰り返す場合は、一度、アイメイクの習慣を見直し、帰宅後はすぐに、ポイントメイクリムーバーで優しく丁寧にメイクを落とす、そしてメイク道具は定期的に洗浄・交換するといった、基本的な衛生管理を徹底することが、再発防止に繋がります。

  • 大人がうつると重症化しやすい?手足口病の症状と注意点

    医療

    手足口病は「子どもの夏風邪」というイメージが強く、実際に患者のほとんどは乳幼児です。しかし、大人も決して無関係ではありません。子どもから家庭内感染するケースは多く、大人が手足口病にうつると、子どもよりも症状が重く、つらい経過をたどることが少なくないのです。多くの場合、大人は過去に同じタイプのウイルスに感染した経験があり、免疫を持っているため、感染しても発症しないか、ごく軽い症状で済むことがほとんどです。しかし、感染したウイルスの型が、これまで一度もかかったことのない型であったり、あるいは疲労やストレスで免疫力が低下していたりすると、大人でも発症してしまいます。大人が手足口病に感染した場合の症状は、子どもと同様に、発熱と、手・足・口の発疹が三主徴となりますが、その程度がより強く出やすい傾向があります。まず、発熱は38~39度の高熱が出ることが多く、強い悪寒や頭痛、全身の筋肉痛、関節痛といった、インフルエンザのような激しい全身症状を伴うことがあります。喉の痛みも非常に強く、口の中にできた口内炎(水疱が破れた後の潰瘍)の痛みが激しいため、食事や水分を摂ることも困難になるケースが見られます。そして、大人の手足口病で特に辛いのが、手足の発疹に伴う「痛み」です。子どもの場合は、発疹にかゆみを伴うことはあっても、強い痛みを訴えることは稀ですが、大人の場合は、水疱がピリピリ、ズキズキと痛み、特に足の裏にできると、体重をかけるだけで激痛が走り、歩行が困難になることもあります。手のひらの発疹の痛みで、仕事や家事など、手を使う作業が全くできなくなる人もいます。また、症状が治まった後、数週間から数ヶ月経ってから、手足の爪が根本から剥がれてくる「爪甲脱落症」という後遺症が見られることもあります。これも大人に比較的多く見られる症状です。このように、大人が手足口病にうつると、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。子どもが感染した際は、「自分は大丈夫」と油断せず、徹底した感染対策で自身の感染を防ぐことが何よりも大切です。

  • 家庭内感染を徹底的に防ぐ!手足口病がうつらないための予防策

    生活

    家族の誰か、特に子どもが手足口病にかかってしまった時、最も重要なミッションは、他の家族、特に兄弟や大人への二次感染を防ぐことです。手足口病は非常に感染力が強く、ウイルスは複数の経路で広がるため、家庭内での感染対策は徹底して行う必要があります。感染を防ぐための対策は、ウイルスの侵入経路を断つことに尽きます。まず、最も基本的かつ最も重要なのが「石鹸と流水による手洗い」です。ウイルスは、感染者の便や体液に触れた手を介して口に入ることで感染します。外出後、食事前、トイレの後、そして特に感染者のケアをした後は、指の間や爪先、手首まで、30秒以上かけて丁寧に洗いましょう。アルコールベースの手指消毒剤も一定の効果はありますが、手足口病の原因となるエンテロウイルスなどには効果が低いとされているため、アルコール消毒に頼るのではなく、まずは物理的にウイルスを洗い流す「手洗い」を最優先してください。次に、感染リスクが最も高い「おむつ交換」には、最大限の注意が必要です。症状が治まった後も、ウイルスは長期間にわたり便から排出されます。おむつを交換する際は、使い捨てのビニール手袋を着用し、お尻を拭いた後のおしりふきや、使用済みのおむつは、ビニール袋に入れてしっかりと口を縛ってから捨てましょう。そして、処理が終わった後は、手袋を外してから、再度、石鹸と流水で徹底的に手を洗ってください。また、「タオルの共用」は絶対に避けてください。洗面所や風呂場のタオルは、個人別に分け、こまめに洗濯しましょう。感染者が使った食器やカトラリーも、可能であれば分けて洗い、心配であれば熱湯消毒や塩素系漂白剤での消毒を行うとより安全です。子どもが口にする可能性のある「おもちゃ」も、こまめな消毒が必要です。プラスチック製のおもちゃは、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を希釈したもの)や、アルコールスプレーで拭くのが効果的です。これらの対策を、症状がある急性期だけでなく、症状が治まった後も、少なくとも1ヶ月は継続することが、家庭内での感染連鎖を断ち切るための鍵となります。

  • 喉の片側だけが痛い、考えられる原因は

    知識

    喉の痛みが、喉全体ではなく、「右側だけ」「左側だけ」というように、片側に偏って強く感じられる場合、それは、いくつかの特定の病気の可能性を示唆する、重要なサインです。このような片側性の痛みを感じた時は、より詳細な診察が必要となるため、「耳鼻咽喉科」を受診するのが、最も適切な選択と言えるでしょう。まず、最も頻度が高い原因が、片側の扁桃腺に、急性の炎症が起こる「急性扁桃炎」です。ウイルスや細菌が、片方の扁桃腺に、より強く感染することで、そちら側だけが、赤く大きく腫れあがり、強い痛みを引き起こします。発熱や、倦怠感を伴うことも多いです。次に、この急性扁桃炎が、さらに悪化した状態である「扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍」も、片側性の激しい痛みの、代表的な原因です。これは、扁桃腺の炎症が、その周囲の組織にまで波及し、膿のたまり(膿瘍)を形成してしまう病気です。痛みは、耳や首にまで放散し、強烈な嚥下痛のために、食事や水分が全く摂れなくなります。また、膿瘍によって、喉の奥が押しやられるため、口が開きにくくなったり(開口障害)、声がこもったりするのが、特徴的なサインです。この場合は、抗生物質の点滴治療と共に、切開して膿を排出する処置が必要となる、緊急性の高い状態です。また、口内炎の一種である「アフタ性口内炎」が、たまたま喉の片側の粘膜にできた場合も、限局した強い痛みを引き起こします。その他、稀ではありますが、「急性喉頭蓋炎」の初期に、痛みが片側に偏って感じられることもあります。そして、中高年以降で、特に注意が必要なのが、喉の「悪性腫瘍(がん)」です。咽頭がんや喉頭がんなどが、初期の症状として、治りにくい、片側性の喉の痛みや、違和感、飲み込みにくさを、引き起こすことがあります。喫煙や、多量の飲酒習慣がある人で、数週間にわたって、片側の喉の痛みが続く場合は、絶対に放置せず、必ず耳鼻咽痕科で、ファイバースコープによる精密検査を受けてください。片側だけの痛みは、体が発する、局所的な異常のサインです。安易に考えず、専門医の診察を受けることが大切です。

  • 女性特有の悩み、婦人科を受診すべき症状

    医療

    女性の体は、思春期、性成熟期、更年期、老年期という、ライフステージの変化に伴い、女性ホルモンの分泌が、ダイナミックに変動します。このホルモンバランスの変化が、心身に様々な影響を及ぼし、女性特有の病気や不調を引き起こします。これらの、女性の体に特化した悩みを、専門的に診断・治療するのが「婦人科」です。(妊娠・出産を主に扱うのは「産科」であり、両方を合わせて「産婦人科」と呼びます。)婦人科を受診すべき症状は、多岐にわたりますが、まず、最も分かりやすいのが「月経(生理)」に関するトラブルです。「生理痛がひどくて、毎回寝込んでしまう(月経困難症)」「経血の量が異常に多い(過多月経)」「生理の周期がバラバラ(月経不順)」「生理ではない時に、出血がある(不正出血)」。これらの症状の背後には、「子宮筋腫」や「子宮内膜症」、「子宮腺筋症」といった、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。放置すると、不妊の原因になったり、貧血が進行したりすることもあるため、我慢せずに相談することが大切です。次に、「おりもの」の異常です。「量が異常に多い」「色が黄色や緑色っぽい」「悪臭がする」「カッテージチーズのようにポロポロしている」。これらは、細菌性腟症や、カンジダ腟炎、あるいは、クラミジアや淋菌といった「性感染症(STD)」のサインかもしれません。外陰部のかゆみや、痛みを伴うこともあります。パートナーと共に治療が必要な場合もあるため、早期の診断が重要です。また、「下腹部痛」も、婦人科疾患の重要な症状です。特に、突然の激しい下腹部痛は、卵巣嚢腫の茎捻転や、子宮外妊娠の破裂といった、緊急手術が必要な病気の可能性があり、一刻を争います。そして、40代後半以降の女性に現れる、「のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、異常な発汗、動悸、めまい、イライラ、気分の落ち込み」といった、多彩な心身の不調は、「更年期障害」の可能性があります。ホルモン補充療法や漢方薬などで、つらい症状を和らげることができます。これらの症状は、デリケートな問題であるため、一人で抱え込みがちですが、婦人科医は、女性の生涯にわたる健康をサポートする、最も頼れるパートナーです。

  • コンタクトレンズの不衛生な使用が原因かも

    生活

    日常的にコンタクトレンズを使用している人で、ものもらいを繰り返す場合、その原因は、レンズの「不衛生な使用方法」にある可能性が非常に高いと考えられます。コンタクトレンズは、角膜(黒目)の表面に直接乗せて使用する、高度管理医療機器です。そのため、取り扱いを誤ると、目のトラブルの大きな原因となります。まず、最も基本的な問題が、レンズの着脱時の「手指の不衛生」です。レンズに触れる前に、石鹸で手を丁寧に洗うことは、感染予防の鉄則です。手を洗わずにレンズを触れば、手指に付着した黄色ブドウ球菌などの細菌を、直接、目の中に運び込んでいるのと同じことになります。次に、レンズそのものの「ケア不足」です。特に、2週間交換タイプや1ヶ月交換タイプのソフトコンタクトレンズを使用している場合、毎日の洗浄・消毒が不可欠です。洗浄を怠ったり、こすり洗いが不十分だったりすると、レンズの表面に、タンパク質や脂質の汚れが付着します。この汚れは、細菌が繁殖するための、格好の温床(バイオフィルム)となります。このような汚れたレンズを装用し続けることは、常に細菌を目の中に入れているようなものであり、ものもらいのリスクを著しく高めます。レンズを保存する「レンズケース」の管理も、見過ごされがちですが非常に重要です。ケース内の保存液を毎日交換し、ケース自体も定期的に洗浄・乾燥させなければ、ケースの中で細菌が繁殖してしまいます。保存液を継ぎ足して使うのは、絶対にやめてください。さらに、「使用期間の厳守」も大切です。ワンデータイプのレンズを2日以上使ったり、2週間交換タイプのレンズを1ヶ月使ったりするような行為は、レンズの劣化や汚れの蓄積を招き、目の酸素不足や感染症のリスクを高める、極めて危険な行為です。これらの不適切な使用法に心当たりがある場合は、まず、コンタクトレンズの正しいケア方法を、眼科医や販売店のスタッフから、改めて指導してもらうことが、ものもらいの再発を防ぐための第一歩です。