病気・治療法・薬の基礎知識を丁寧に解説

2025年9月
  • 咳と胸痛・息苦しさ、循環器内科や救急科も視野に

    医療

    咳という症状は、ほとんどの場合、呼吸器系の病気が原因ですが、ごく稀に、心臓や血管といった「循環器」の重大な病気のサインとして、現れることがあります。特に、咳に加えて、「胸の痛み」や「息苦しさ(呼吸困難)」といった症状を伴う場合は、緊急性の高い状態である可能性も考え、迅速な対応が必要です。このような場合に、専門的な診断と治療を行うのが「循環器内科」であり、一刻を争う場合は「救急科(救急外来)」の受診が不可欠となります。まず、考えられるのが「心不全」です。心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を、十分に送り出せなくなった状態です。心臓から血液を送り出す力が弱まると、血液が渋滞(うっ血)を起こし、その影響が肺にまで及ぶと、肺に水が溜まってしまいます(肺水腫)。この、肺に溜まった水が、気道を刺激し、咳や、ピンク色の泡のような痰(泡沫状血痰)を引き起こすのです。心不全の咳は、特に、夜間、横になると悪化するのが特徴で、息苦しさのあまり、座らないと呼吸ができない「起座呼吸」という状態になることもあります。足のむくみや、急激な体重増加を伴うことも、重要なサインです。次に、より緊急性が高いのが、「急性肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」です。これは、足の静脈にできた血の塊(血栓)が、血流に乗って肺の動脈に詰まってしまう病気で、突然の激しい胸の痛みと、呼吸困難、そして咳(時に血痰)で発症します。失神したり、血圧が急激に低下したりすることもあり、命に関わる、極めて危険な状態です。これらの心臓や血管の病気が疑われる場合、循環器内科では、胸部X線撮影や、心電図、心エコー(心臓超音波)検査、そして血液検査(心不全マーカーであるBNPなど)を行い、診断を確定させます。治療は、利尿薬や、心臓を保護する薬、あるいは血栓を溶かす薬など、専門的な薬物療法が必要となります。咳が、単なる呼吸器症状ではない、何かおかしいと感じたら、これらの危険な病気の可能性も、頭の片隅に置いておくことが大切です。

  • まとめ。咳で迷ったら、どう考え、どう行動すべきか

    知識

    「咳」という、ありふれた症状だからこそ、その裏に隠された、様々な病気の可能性を見逃さず、適切な行動をとることが重要です。ここでは、これまでの内容を総括し、「咳」で悩んだ際に、どのように考え、どの診療科を目指すべきかの、行動指針を整理します。Step 1:咳の「期間」と「緊急性」で、最初の行動を決める。①2週間未満の、急性の咳 → 発熱や鼻水、喉の痛みを伴う場合は、風邪や急性気管支炎の可能性が高いです。まずは、かかりつけの「内科」(子どもの場合は「小児科」)を受診し、初期治療を受けましょう。②2週間以上続く、長引く咳 → 単なる風邪ではない可能性が高まります。より専門的な検査が必要となるため、「呼吸器内科」への受診を、強くお勧めします。③緊急性を要する咳 → 「息苦しさ」「胸の痛み」「血痰」などを伴う場合は、肺炎や心不全、肺塞栓症といった、重篤な病気の可能性があります。ためらわずに、夜間や休日であっても、救急外来を受診してください。Step 2:「咳以外の伴う症状」で、専門科を絞り込む。①鼻水、鼻づまり、喉への痰の落下感(後鼻漏)が強い場合 → 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が、咳の原因かもしれません。「耳鼻咽喉科」が専門です。②胸やけ、酸っぱいものがこみ上げてくる感じがある場合 → 逆流性食道炎を疑い、「消化器内科」へ相談します。③ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)を伴う場合 → 気管支喘息や咳喘息の可能性が高く、吸入薬による治療が必要なため、「呼吸器内科」が最適です。**Step 3:「それでも判断に迷う場合」の行動。**どの症状も当てはまるようで、わからない。そんな時は、医療の最も基本的な窓口である「一般内科」や「総合診療科」を受診するのが、最も賢明な選択です。総合的な視点から、あなたの症状を評価し、最も可能性の高い原因を探り、必要であれば、最適な専門科へと、スムーズに導いてくれます。咳は、我慢しても良いことはありません。この思考プロセスを参考に、専門医の助けを借りて、つらい症状から、一日も早く解放されましょう。

  • りんご病とは?大人の頬が赤くなる原因

    医療

    りんご病は、正式には「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と呼ばれる、ウイルス性の感染症です。その名の通り、両頬が、まるでりんごのように真っ赤になる特徴的な症状から、この愛称で親しまれています。原因となるのは、「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスで、主に、咳やくしゃみなどに含まれるしぶきを吸い込む「飛沫感染」によって広がります。一般的に、りんご病は、4歳から10歳くらいの子どもたちによく見られる、比較的軽症な病気として知られています。しかし、免疫を持っていない大人が感染すると、子どもとは異なる、そして、しばしば、より重い症状に悩まされることがあるため、注意が必要です。大人がりんご病に感染した場合も、子どもと同様に、特徴的な「頬の赤い発疹」が現れることがあります。しかし、子どもほど典型的ではなく、赤みがそれほど強くなかったり、頬だけでなく、顔全体が腫れぼったくなったりすることもあります。そして、大人のりんご病で、最も特徴的で、かつ、つらい症状となるのが、発疹と共に出現する、激しい「関節痛」や「関節炎」です。手首や、手指の関節、膝、足首などが、朝、こわばって動かしにくくなったり、赤く腫れて、ズキズキと痛んだりします。この関節症状は、関節リウマチと見間違えられるほど、強いこともあり、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。また、発熱や、頭痛、筋肉痛、強い倦怠感といった、インフルエンザのような全身症状が、発疹に先立って現れることも、大人のりんご病の特徴です。りんご病が疑われる場合、受診すべき診療科は、症状に応じて異なります。発疹が主であれば「皮膚科」、関節痛が強ければ「リウマチ・膠原病内科」、あるいは、まずは全身を診てほしい場合は「一般内科」が、適切な相談窓口となります。

  • 「いつからいつまでうつる?」手足口病の感染期間の真実

    医療

    手足口病と診断された時、保護者が最も気になることの一つが、「この病気は、いつからいつまで他の人にうつる可能性があるのか?」という感染期間の問題でしょう。この期間を正しく理解することは、家庭内での二次感染や、集団生活での感染拡大を防ぐために極めて重要です。まず、ウイルスが体内に侵入してから症状が出るまでの「潜伏期間」は、およそ3日から5日間です。この潜伏期間中にも、既にウイルスは体内で増殖を始めており、症状が出る直前から、他の人にうつす可能性があります。そして、発熱や発疹、喉の痛みといった症状が現れる「急性期」が、最も感染力が強い時期となります。この時期は、咳やくしゃみによる飛沫、水疱の内容液、そして唾液など、あらゆる体液にウイルスが大量に含まれているため、厳重な注意が必要です。では、熱が下がり、発疹が消えて元気になったら、もううつらないのでしょうか。答えは「いいえ」です。ここに手足口病の感染対策の難しさがあります。症状が改善した後も、ウイルスは体外へ排出され続けるのです。排出される経路と期間には違いがあります。喉や気道からのウイルスの排出は、症状が治まってから約1~2週間続くとされています。つまり、咳やくしゃみによる飛沫感染のリスクは、しばらく残るということです。そして、さらに長期間にわたってウイルスが排出されるのが「便」からです。便中のウイルスは、回復後も2~4週間、長い場合には1ヶ月以上にわたって排出され続けることがあります。この事実が非常に重要です。見た目はすっかり元気になっていても、おむつ交換やトイレの後には、感染源となるウイルスがまだ存在しているのです。この長期にわたるウイルス排出期間があるため、学校保健安全法では、インフルエンザのように「解熱後◯日間」といった明確な出席停止期間は定められていません。登園・登校の目安は、あくまで本人の全身状態によります。しかし、家庭内や集団生活の場では、症状が治まった後も、少なくとも1ヶ月程度は、徹底した手洗いや排泄物の適切な処理といった感染対策を継続することが、見えないウイルスから周りの人々を守るために不可欠なのです。

  • まとめ。めまいで迷ったら、どう考え、どう行動すべきか

    知識

    これまで見てきたように、「めまい」という一つの症状には、耳、脳、心臓、首、さらには精神的な要因まで、非常に多くの原因が潜んでいます。そのため、適切な診療科を選ぶのは、非常に難しいのが実情です。ここでは、めまいで悩んだ際の、行動指針を整理します。まず、Step 1として、最も重要なのが「危険なサインの有無」です。「突然の激しい頭痛」「手足の麻痺やしびれ」「ろれつが回らない」といった神経症状を伴う場合は、脳卒中の可能性があります。ためらわずに直ちに救急車を呼んでください。次に、Step 2として、「めまいの性質」を観察します。①グルグル回る回転性めまいか? → 耳が原因の可能性が高く、「耳鼻咽喉科」が第一選択です。特に、頭を動かすと誘発される場合は、良性発作性頭位めまい症を疑います。②立ちくらみや、息切れを伴うか? → 血圧や心臓の問題を考え、「内科」や「循環器内科」へ。③ふわふわする浮動性のめまいか? → 原因が多岐にわたるため、まずは全身を診てくれる「一般内科」や「総合診療科」で、スクリーニング検査を受けるのが賢明です。Step 3は、「めまい以外の伴う症状」に注目することです。「首のこりや痛み」が強いなら、頸性めまいを疑い「整形外科」へ。ホットフラッシュやイライラなど、他の更年期症状があれば「婦人科」へ。強い不安感やパニック発作を伴うなら「心療内科」へ、というように、他の症状が、診療科選びのヒントになります。もし、これらのステップを踏んでも判断に迷う場合は、まずは、めまいの原因として最も頻度が高く、かつ、危険な脳の病気との鑑別も行ってくれる、「耳鼻咽喉科」を最初の窓口とするのが、多くの場合で合理的です。そこで異常がなければ、内科など、他の科へ紹介してもらえます。めまいは、我慢しても改善しないことが多いです。この思考プロセスを参考に、専門医の助けを借りて、つらい症状の原因を突き止めましょう。

  • りんご病と間違いやすい、頬が赤くなる他の病気

    医療

    子どもの頬が赤くなっているのを見ると、多くの人が、まず「りんご病かな?」と考えるかもしれません。しかし、頬が赤くなる原因は、りんご病だけではありません。中には、適切な対応が必要な、他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断は禁物です。りんご病と間違いやすい、頬が赤くなる代表的な病気を、いくつか紹介します。まず、乳幼児に多いのが、単純な「乳児湿疹」や「乾燥による頬の荒れ」です。特に、冬場の乾燥した空気や、よだれ、食べこぼしなどの刺激で、頬の皮膚がカサカサになり、赤みを帯びることがあります。これは、保湿ケアが基本となります。次に、溶連菌感染症に伴う発疹である「猩紅熱(しょうこうねつ)」でも、顔に発疹が出ることがあります。猩紅熱の発疹は、頬が赤くなりますが、口の周りだけが白く抜ける「口囲蒼白」が見られるのが特徴です。また、舌がイチゴのように赤くブツブツになる「いちご舌」や、紙やすりのようにザラザラした、細かい発疹が、全身に広がります。溶連菌は、細菌感染なので、抗生物質による治療が必須です。アレルギー性の疾患も、頬の赤みの原因となります。「アトピー性皮膚炎」では、頬に、かゆみを伴う、ジクジクとした湿疹ができやすいです。また、特定の食物や、化粧品、塗り薬などが原因で起こる「接触皮膚炎(かぶれ)」も、頬に赤みやブツブツを引き起こします。全身性の自己免疫疾患である「全身性エリテマトーデス(SLE)」では、鼻から両頬にかけて、蝶が羽を広げたような形に、特徴的な赤い発疹(蝶形紅斑)が現れることがあります。これは、発熱や関節痛といった、全身症状を伴う、内科的な病気です。そして、寒い地方の幼児に見られる「小児顔面紅色丘疹」や、リンゴ病とは関係ない「伝染性紅斑様皮疹」など、専門家でなければ鑑別の難しい病気もあります。これらの病気を見分けるためには、頬の赤みだけでなく、発熱の有無や、他の部位の発疹、全身症状などを、総合的に判断する必要があります。気になる場合は、まず、かかりつけの「小児科」や「皮膚科」を受診し、正しい診断を受けることが大切です。

  • 私が体験した地獄、大人のヘルパンギーナ闘病記

    医療

    「子どもの夏風邪が、こんなにも恐ろしいものだとは、夢にも思っていませんでした」。あれは、当時4歳だった息子が、保育園でヘルパンギーナと診断された、数日後のことです。最初は、軽い倦怠感と、37度台の微熱でした。「息子の看病疲れが出たかな」と、市販の風邪薬を飲んで、早めにベッドに入りました。しかし、その夜半、私は、経験したことのないほどの悪寒で目を覚ましました。歯の根が合わないほどの震えが止まらず、体温計は、一気に39.8度を指し示していました。体中の関節が、まるで錆びついたようにギシギシと痛み、頭は割れるように痛い。しかし、本当の地獄は、喉にありました。鏡で口の中を覗くと、喉の奥に、びっしりと、白い口内炎ができていたのです。それは、ただの口内炎ではありませんでした。唾を飲み込むという、普段は無意識に行っている行為が、毎回、覚悟を決めなければできない、拷問のような苦行と化しました。ゴクリと音を立てるたびに、喉の奥で、無数のガラスの破片が突き刺さるかのような激痛が走り、思わずうめき声が漏れてしまいます。食事はもちろん、水分を摂ることさえ、ほとんどできませんでした。スポーツドリンクを一口含んだだけで、あまりのしみる痛みに、涙が出ました。二日間、ほとんど眠ることもできず、ただひたすら、天井を見つめて、痛みに耐えるだけの時間は、永遠に続くかのように感じられました。発症から3日目、脱水症状でふらふらになりながら、内科を受診し、点滴を受けました。冷たい液体が血管に入っていくのを感じながら、「これが、あのヘルパンギーナなのか」と、その恐ろしさを、身をもって知りました。幸い、点滴と、処方された強力な鎮痛剤のおかげで、その日の夜からは、少しずつ水分が摂れるようになり、回復の兆しが見え始めました。完全に体調が戻るまでには、10日以上かかりましたが、あの地獄のような喉の痛みは、今でも私の記憶に、鮮明に焼き付いています。

  • 耳鼻咽喉科が専門、喉の痛みのスペシャリスト

    医療

    喉の痛みで医療機関を受診する際、最も専門的な診断と治療が期待できるのが「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科は、その名の通り、耳・鼻・喉(咽頭・喉頭)の病気を専門とするエキスパートであり、喉の痛みの原因となる、様々な疾患に対して、深い知識と、豊富な診療経験を持っています。耳鼻咽喉科を受診する最大のメリットは、その「診察の精度」にあります。内科の診察では、主にペンライトと舌圧子(ヘラ)を使って、口の中から見える範囲(中咽頭)を観察しますが、耳鼻咽喉科医は、これに加えて、ヘッドライトを装着し、より明るく、広い視野のもとで、喉の隅々まで、詳細に観察します。さらに、必要であれば、「ファイバースコープ」という、先端に高性能カメラがついた、細くしなやかな管を、鼻から挿入し、内科の診察では、決して見ることのできない、鼻の奥(上咽頭)や、喉の最も深い部分、声帯のある喉頭までを、リアルタイムで、モニターに映し出して評価することが可能です。これにより、炎症の範囲や程度を、正確に把握できるだけでなく、ポリープや、稀ですが、喉頭がんなどの、重大な病気の見逃しを防ぐことにも繋がります。また、耳鼻咽喉科では、内服薬の処方に加えて、喉の炎症を直接抑えるための「専門的な処置」を受けられるという、大きな利点もあります。例えば、多くのクリニックに設置されている「ネブライザー」という吸入器を使い、抗炎症薬や抗生物質を含んだ、霧状の薬剤を、口や鼻から吸入します。これにより、薬剤が、痛みの強い患部に直接届き、腫れや痛みを、効果的に和らげることが期待できます。また、医師によっては、扁桃腺に付着した膿を、専用の器具で吸引除去したり、炎症を抑える薬剤を、直接塗布したりする処置を行ってくれることもあります。これらの処置は、内服薬だけでは得られない、即効性のある症状緩和に繋がります。喉の痛みが、特につらいと感じる場合は、喉のスペシャリストである、耳鼻咽喉科医の力を借りるのが、最も確実な選択と言えるでしょう。

  • 食生活の乱れや偏りが原因で繰り返す

    生活

    ものもらいを繰り返す原因は、目の周りの衛生環境だけでなく、私たちの体を作る基本である「食生活」にも、深く関わっています。偏った食生活や、栄養バランスの乱れは、皮膚や粘膜の健康を損ない、免疫力を低下させることで、ものもらいができやすい体質を作り出してしまうのです。特に、現代人に不足しがちな、いくつかの栄養素は、目の健康と感染防御に、直接的な影響を与えます。まず、皮膚や粘膜を、正常で健やかな状態に保つために不可欠なのが、「ビタミンA」と「ビタミンB群」です。ビタミンAは、目の粘膜を保護し、ウイルスの侵入を防ぐ働きがあります。不足すると、目が乾燥しやすくなり、バリア機能が低下します。レバーやうなぎ、緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)に多く含まれています。ビタミンB群、特にビタミンB2やB6は、「皮膚のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜の再生を助け、炎症を抑える働きがあります。これらが不足すると、肌荒れや口内炎、そして、ものもらいのような、粘膜のトラブルが起きやすくなります。豚肉やレバー、卵、納豆などに豊富です。また、体の免疫システム全体を、正常に機能させる上で重要なのが、「ビタミンC」と「亜鉛」です。ビタミンCは、白血球の働きを助け、コラーゲンの生成を促して、皮膚や粘膜を丈夫にする、強力な抗酸化ビタミンです。ストレスによって大量に消費されるため、意識的な摂取が必要です。果物や野菜、芋類に多く含まれます。亜鉛は、免疫細胞の活性化に不可欠なミネラルですが、加工食品の摂取が多いと不足しがちです。牡蠣や肉類、豆類などに含まれています。一方で、摂りすぎに注意したいのが、「脂質の多い食事」や「糖質の多い食事」です。これらは、皮脂の分泌を過剰にし、マイボーム腺の詰まり(霰粒腫の原因)を誘発したり、腸内環境を悪化させて、免疫バランスを乱したりする可能性があります。スナック菓子や、ケーキ、脂っこい肉料理などは、ほどほどにすることが賢明です。ものもらいは、体が「栄養バランスが乱れていますよ」と教えてくれる、サインの一つかもしれません。日々の食事内容を、一度見直してみてはいかがでしょうか。

  • 外科の役割、手術が必要な病気や怪我

    医療

    「外科」と聞くと、多くの人が「手術をする科」というイメージを持つでしょう。そのイメージは、まさにその通りです。外科は、主に手術的なアプローチ、すなわち、メスなどを用いて、患部を切開したり、切除したり、あるいは縫合したりすることで、病気や怪我を治療する診療科です。内科が、薬物療法を主軸とする「内からのアプローチ」であるのに対し、外科は、手術を主軸とする「外からのアプローチ」と言えるでしょう。では、どのような症状があれば、外科を受診すべきなのでしょうか。まず、最も分かりやすいのが、「怪我(外傷)」です。包丁で深く指を切ってしまった「切り傷」や、転んで皮膚が大きく擦りむけた「擦り傷」、あるいは、交通事故やスポーツで、お腹や胸を強く打った「打撲」など、縫合処置や、内部の損傷の評価が必要な場合は、外科が対応します。特に、腹部を強く打った後は、肝臓や脾臓といった内臓が損傷している(内臓損傷)可能性があり、緊急手術が必要となることもあるため、速やかな受診が不可欠です。次に、体の表面にできた「しこり」や「できもの」も、外科の領域です。皮膚の下にできた、柔らかい脂肪の塊(脂肪腫)や、硬いしこり(粉瘤など)で、切除を希望する場合は、外科での日帰り手術が可能です。また、腹部の症状では、「急性虫垂炎(盲腸)」が、外科で扱う代表的な緊急疾患です。みぞおちの痛みから始まり、徐々に右下腹部に痛みが移動し、吐き気や発熱を伴う場合は、虫垂炎を強く疑い、直ちに外科を受診する必要があります。放置すると、腹膜炎という命に関わる状態になる危険性があります。その他、腸が詰まってしまう「腸閉塞(イレウス)」や、お腹の壁の弱い部分から腸が飛び出す「ヘルニア(脱腸)」、そして、胃がんや大腸がんといった、「消化器がん」の診断と手術治療も、外科(特に消化器外科)の重要な役割です。内科と同様に、外科もまた、「消化器外科」「心臓血管外科」「呼吸器外科」「乳腺外科」といったように、専門分野が細分化されています。どの外科に行けばよいか迷う場合は、まずは「一般外科」を受診し、そこから適切な専門外科へ紹介してもらうのが良いでしょう。