ものもらいを繰り返す背景に、実は「ドライアイ」や「アレルギー性結膜炎」といった、目の表面の病気が隠れていることがあります。これらの病気は、目のバリア機能を低下させ、細菌が侵入・増殖しやすい環境を作り出すことで、間接的に、ものもらいの再発リスクを高めるのです。まず、「ドライアイ」は、涙の量が不足したり、涙の質が変化して、蒸発しやすくなったりすることで、目の表面が乾燥する病気です。涙は、単に目を潤すだけでなく、その中に含まれるリゾチームなどの抗菌物質によって、外部からの細菌の侵入を防いだり、目の表面についた異物や細菌を洗い流したりする、重要な「バリア機能」と「洗浄機能」を担っています。しかし、ドライアイになると、この涙による防御システムがうまく働かなくなります。その結果、目の表面で細菌が繁殖しやすくなり、まぶたの縁にある分泌腺にも、感染が起こりやすくなるのです。パソコンやスマートフォンの長時間使用による、まばたきの回数の減少が、現代人のドライアイの大きな原因となっています。次に、「アレルギー性結膜炎」も、ものもらいの誘因となります。花粉やハウスダストなどが原因で、目にアレルギー反応が起こると、強いかゆみが生じます。このかゆみのために、無意識のうちに、汚れた手で目をゴシゴシとこすってしまうことが、細菌を目に運び込み、まぶたの皮膚に小さな傷をつける、直接的なきっかけとなります。また、アレルギーによる慢性的な炎症は、目の粘膜のバリア機能そのものを、低下させてしまいます。さらに、アレルギー性結膜炎の治療で、ステロイドの点眼薬を長期間使用している場合、その副作用として、局所的な免疫力が抑制され、感染症にかかりやすくなることもあります。このように、目の乾燥やかゆみといった、一見ものもらいとは直接関係なさそうな症状が、実は、再発の根本的な土壌となっている可能性があります。ものもらいを繰り返す人で、ドライアイやアレルギーの症状にも心当たりがある場合は、眼科で、これらの基礎疾患についても相談し、適切な治療を受けることが、再発の連鎖を断ち切るために重要です。
ドライアイやアレルギー性結膜炎が隠れた原因に