体の最も外側を覆い、外部の刺激から私たちを守ってくれている、人体最大の臓器「皮膚」。この皮膚に現れる、あらゆるトラブルを専門的に診断・治療するのが「皮膚科」です。かゆみ、赤み、ブツブツ、カサカサ、ただれ、できもの、あるいは、髪の毛や爪の異常まで、その守備範囲は非常に広く、目に見える症状であれば、まずは皮膚科に相談するのが基本となります。皮膚科で扱う代表的な疾患は、数えきれないほどありますが、日常的によく見られるものをいくつか挙げます。まず、「湿疹・皮膚炎」のグループです。特定の物質に触れてかぶれる「接触皮膚炎」、汗が原因で起こる「あせも」、乾燥によって生じる「皮脂欠乏性湿疹」、そして、アレルギー体質が関与する「アトピー性皮膚炎」などが、これに含まれます。強いかゆみを伴うことが多く、適切なステロイド外用薬などによる治療が必要です。次に、「感染症」です。細菌が原因の「とびひ(伝染性膿痂疹)」や「おでき(毛嚢炎)」、ウイルスが原因の「水いぼ(伝染性軟属腫)」や「ヘルペス」、「帯状疱疹」、そしてカビ(真菌)が原因の「水虫(足白癬)」や「カンジダ症」など、様々な病原体が、皮膚に感染症を引き起こします。原因微生物を特定し、それぞれに合った抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬を用いて治療します。「蕁麻疹(じんましん)」も、皮膚科で扱う代表的な病気です。蚊に刺されたような、赤く盛り上がった発疹(膨疹)が、突然現れ、数時間で消えるのが特徴で、その多くはアレルギー反応が関与しています。皮膚科は、アレルギーの原因を調べるための、血液検査やパッチテストなども行う、「アレルギー科」としての側面も持っています。その他、ニキビ(尋常性ざ瘡)や、ほくろ、シミ、イボ、そして皮膚がんの診断と治療も、皮膚科の重要な役割です。皮膚の症状は、目に見える分、自己判断で市販薬を使いがちですが、似たような見た目でも、原因が全く違う病気であることも少なくありません。正確な診断が、適切な治療への第一歩です。気になる皮膚症状があれば、まずは皮膚科専門医に相談してください。
皮膚のトラブルは皮膚科、アレルギーも専門