喉の痛みに加えて、「声がかすれて、出にくい(嗄声・させい)」、あるいは、「食べ物や飲み物が、うまく飲み込めない、むせる(嚥下困難)」といった症状が、強く現れている場合。それは、炎症が、喉のさらに奥深く、声帯や、その周辺の「喉頭(こうとう)」と呼ばれる部分にまで、及んでいるサインかもしれません。このような症状が見られる場合は、喉の奥を直接、詳細に観察できる、「耳鼻咽喉科」の受診が、強く推奨されます。声がれの原因として、最も多いのが、声帯そのものに炎症が起こる「急性声帯炎」です。風邪のウイルスなどが原因で、声を出すための、左右一対のヒダである声帯が、赤く腫れて、正常に振動できなくなることで、声がかすれてしまいます。喉の痛みや、咳を伴うことが多く、治療の基本は、とにかく声を出さない「沈黙療法」です。炎症を抑える薬の吸入(ネブライザー治療)も、有効です。一方、より注意が必要なのが、喉の痛みと、飲み込みにくさ、そして、声が、まるでジャガイモが口の中にあるかのように、こもって聞こえる「含み声」が、同時に現れた場合です。これは、喉頭の中でも、気道の入り口の蓋の役割をしている「喉頭蓋(こうとうがい)」という部分に、急激な炎症と腫れが起こる「急性喉頭蓋炎」の可能性があります。喉頭蓋がパンパンに腫れあがると、気道を塞いでしまい、窒息に至る危険性がある、極めて緊急性の高い病気です。息苦しさ(特に、息を吸う時)を伴う場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに救急病院を受診する必要があります。また、喉の痛みが、片側に非常に強く、口が開きにくい(開口障害)といった症状がある場合は、「扁桃周囲膿瘍」の可能性も考えられます。これは、扁桃炎の炎症が、扁- chí腺の周囲にまで波及し、膿の塊を作ってしまう状態で、声がこもり、飲み込みにくさを伴います。この場合も、切開して膿を出す処置が必要となるため、耳鼻咽喉科での専門的な対応が不可欠です。
声がれや飲み込みにくさを伴う喉の痛み